第30回(2009年第3回)
概要
- テーマ:小さな平和、大きな平和―わたしと「九条の会」の活動
- 話題提供:「九条の会・葛城」世話人代表 河合岑一郎さん
- 日時:4月26日(日) 14:00〜16:00
- 会場:當麻文化会館 セミナー室
内容
(1)葛城市と私
20年前に葛城市に引っ越してきた。文化財に関する映像の仕事をしていて、ぜひ奈良に住みたいと思っていた。葛城市は第二の故郷。野菜作りをしている。
(2)戦争と私
父親がニューギニアで戦死し、母親は苦労してきた。小さな平和を守るためには大きな平和が必要。
世界中で女性や子供が犠牲になっている中、「日本は平和だ」というだけでいいのか。
(3)明治時代以降の日本
日本は世界に責任を果たしてきたか。台湾・朝鮮・満州を支配し、太平洋戦争では日本にも被害が及んだ。
(4)平和憲法の制定
戦後、平和憲法ができ、『あたらしい憲法のはなし』という冊子が作られた。私たちはこの精神に立ち戻る必要がある。
この間戦争は起こっていないが、警察予備隊ができ、自衛隊ができ、海外派兵が進められてきた。
(5)憲法99条
憲法99条には憲法擁護義務が定められている。
(6)「九条の会」と私
九条の会結成の時、「九条の会アピール」が出された。
(7)「九条の会・葛城」活動と現状
「九条の会・葛城」の賛同者は現在400名弱。住民過半数の賛同を得るという目標にはまだまだ。
さまざまな取り組みを行ってきている。発足記念講演に大谷さんを招き、1周年では『日本の青空』を上映、2周年では西谷さんを招いた。屋敷山公園祭りに出店している。毎月9のつく日にビラを配っている。年2回全戸ビラを配布している。月1回、賛同者向けにニュースを発行している。
現状では活動家が中心になっているので、今後は一般市民の力が必要になってくる。
(8)葛城市と平和運動
去年9月、市議会が非核平和都市宣言を出した。合併も絡むが、県内自治体で最も遅い。これを具体化してほしい。
市長に申し入れを行った。この問題について話し合いをしてほしい、市民参加の平和の集いをしてほしいということ。しかし、まだ返事がこないので、再度申し入れしたい。99条の擁護・尊重義務を守ってほしい。
(9)改憲をめぐる情勢
ソマリア海賊法案が議論されている。海上保安庁で対応できることだし、民政を何とかするというのが本筋ではないか。武器使用も認められようとしている。憲法を変えるのがねらいではないか。
憲法審査会の始動に向けた動きがある。国民投票法案が来年施行される。審査会の規程もかなり具体化されている。
憲法論議が停止状態なのは許されないという主張がある。今こそ九条の会を広げていく必要がある。
(10)これからの「九条の会・葛城」
せめて大字ごとに活動を広げていく必要がある。憲法を語り合う会、懇談会などができないか。
小さな平和には大きな平和が必要。九条の会が過半数を占める力になってほしい。
意見・質問
- 戦争はなぜ起こるか。それで儲けるやつがいるから。それに乗らないためにどうすれば良いか。
- 今の資本主義の仕組みそのものが問題。
- その中でも、頭を働かせれば乗り切れるはず。
- かつてそういう経験があって、私たちは日本国憲法を作った。それを国家が踏みにじらないように、運動をどう広げていくか。
- それぞれが勉強していくしかない。
- 九条の会は葛城市の中で認知されつつある。やがて大きな力になる。
- 日本の政治はどうしたらいいか。自民・公明で政権を持っているから守っていくのは難しい。9条を守る政党を選挙で選ぶしかない。
- ソマリア・北朝鮮の問題で9条を変えた方がいいという人が増えている。その前は、九条の会の運動で、守ろうという人が5割を超えた時もある。
- 向こうも必死だから、どうしても選挙で政治の流れを変える必要がある。
- 山下市長に申し入れをしたが、住民の運動には冷たい。
- 宣言決議だけでは力がない。これを生かす、具体化することが大切。
- 日本だけでなく海外でも9条が取り上げられているそうだが。
- 去年、世界9条会議が開かれた。2006年にはカナダで世界平和フォーラムが開かれた。バンクーバー九条の会では、優雅な戦い方をしている。ビラではなく、全てメール。元カナダ大使夫人の日本人がメンバーにいる。呼びかけると大手企業の人が来たりする。日本からの移民で、戦中収容所に入れられた人も。オタワに広げようとやりとりしている。カナダ各地に作っていこうという動きがある。中心は日本からの移民。アメリカ・アフリカ・ラテンアメリカにも動きがある。スイスはカナダとともにフォーラムのスタッフ国になっていた。五大陸全てで、戦争・武器廃棄しかないという動きがある。世界9条会議では、どのようにして9条を世界に広げていくのかという議論がなされた。韓国の人が「世界会議はどういう意味なのか。日本国民を助けろということか」と質問していた。「9条の精神が広がっていけば、世界の苦しみを解決できる。日本国民も安心して9条を守れる」と答えた。
- 市長との懇談について、人権問題については各大字でやっている。市がやってくれれば参加しやすい。
- 人権問題は、県の方針であり市の方針。市として平和問題を市民のものにという視点がない。市民運動は大字・区長が大きな役割を果たしている。大字懇談会がどこか一つでも実現すれば広がっていくと思う。
- 平和でないと人類は生きられない。奈良県で一番最後に宣言したというが、それは九条の会が訴えをしたから。受け身ではいけない。具体的な提起が必要。考える会は行動する会ではない。問題提起はするが、あとは各個人が行動していく。
- 九条の会世話人会では、大字ごとに組織できればという議論をしている。国民投票法案は、議席数に応じて広報ができるとなっている。また、マスコミを買い取ることもできる。私たちが投票する地べたのところで活動する必要がある。非核平和都市宣言は當麻ではされていたが、合併で曖昧になっていた。當麻でされたのは、長年平和活動がされてきたから。
- 6月20日(土)いかるがホールで澤地久枝講演会を行うが、市が後援してくれることになった。思想問題にされる傾向があるが、現実的にできることを考える必要がある。
- 公務員は憲法を守らなければならない。こういう否定できないところから話をしていけばよい。
- 政党がある限り大して変わらない。
- 法律を守りましょうということは、思想の問題ではない。
- 3月議会で、平和に関する予算を組んでいるか確認する必要がある。
- 市長との懇談で話を聞く必要がある。その上で提案していけばよい。今日は、九条の会の活動を知ってもらい、こんなことをすればという提案をしてもらえばと思ってきた。
- 申し合わせの中に活動内容を入れてはどうか。
- 賛同者の集いなので、細かい規約は入れないことにしている。
- ビラをまいて、だからどうしたという感じがする。一方通行という感じ。ビラの中にでも、今年はこんなことをするというのを入れればよい。行ったり来たりがないとだめ。
- ビラには「意見を寄せて、参加して」など入れているが、フィードバックがないと確かめようがない。
- 流動的な人たちをどうするか。「戦争が起きたらどうするのか」という人たち。文部省は、『あたらしい憲法のはなし』で「心配いりません」と言っている。
- 一方的だということについて、ビラをみて事務局に来た人もいる。
- 映画会を20年間やってきた。小学生がカンパ箱に小遣いを入れてくれていた。大人になってもそういう考え方を持ってくれるのではないか。
- 区長さんにニュースを届けるということもできるのでは。
- 屯鶴峯が、乱開発で壊されている。葛城市の平和博物館があればよい。そういう提案ができるように財産を蓄えていくことが必要。
- 本をつくることは可能ではないか。
- 教育の問題が大きい。政治家が替わらないことには始まらない。葛城市には市民運動の歴史がある。九条の会が教育を課題にしていく必要がある。
- 聞き取りをして戦争体験記を作ってはどうか。
- 話をしたくない人が多い。しかし、今のうちでないと話してもらえない。
- 人間関係を作りながら聞いていく必要がある。
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